ITCカンファレンス2005

2005/10/23

 

10月21日、22日の2日間、東京・大田区の蒲田で、ITCカンファレンスが開催されました。このカンファレンスはITコーディネータ協会が主催する、年に1度のITコーディネータの最大の集まりで、毎年経営とITの融合をテーマにした発表や講演があります。

この中で、今年、MAIDO-Forumのワークグループで研究している「検証ユニット」方式による中小企業へのIT導入事例が発表されました。 「検証ユニット」方式による事例発表は、昨年の発表に続き、2年連続で当グループからITCカンファレンスでの事例発表でした。

事例発表は、コネやツテで発表するのではなく、応募して、審査されて決まるので、2年連続というのは、なかなか出来ないことではないかと思います。

来年も、MAIDO-Forum会員からの事例発表が出ることを期待しています。

MAIDO-Forum 世話人

スパイラル型の検証ユニットの目的

2005/10/12

 
当フォーラムで提唱している中小企業向けのIT導入の方法論、スパイラル型の検証ユニット方式について、少し書いてみたい。

製造業であれ小売業であれ、がんばっている中小企業には人に言えない苦労の積み重ねがある。資金繰り、従業員の能力、製品やサービスの販売ルートの確立など、大変な時間と労力をかけて今の形がある。その商売に対する嗅覚やリスクに対する賭け、判断は、時に素早く、時に慎重で、判断根拠も明白である。

ところが、経営改革へのIT導入となったとたん、その鼻が利かなくなってしまう経営者がいる。たとえば、数店舗を経営している小売店の社長にとって新店舗をオープンするのもインターネットショッピングを始めるのも、私から見れば同じくらいの慎重さとパワーが必要だと思うのに、ネットショップとなったとたんに、「丸投げ」になったり「片手間」になったりする。

こういう場合、ITベンダーから見れば、ホームページを作るかどうか、決済機能をどうするか、ということが問題になるのだが、経営者の意識はまったく違う。はたして新店舗をオープンする時のような慎重さや大胆さが発揮できる土台ができているのかどうかが問題となる。

実店舗であれば、立地や店構え、店舗の内装に口うるさい社長が、ネットショップではデザイナーに任せたり、あるいはあくまで自分で制作しようと考えたりするのは、時に危険な選択である。

スパイラル型の検証ユニットの狙いは、こうした経営者に、「ネットショップも実店舗も実は同じような感覚が必要なんだ」という気付きや目覚めを与えることにある。そのためにITコーディネータは、「どうやってネットショップオープンまでの道のりを細かく刻んで提供するか」を一所懸命考える必要がある。

「まずは、ご自身のプライベートな趣味のページを開設しましょうよ」
「次回までに、ライバルになりそうなネットショップを20社ぐらい挙げてみて下さい。店舗の立地調査と同じで重要ですよ」
「オリジナルの情報や商品説明を書き出してみてください」

まずはアクションを起こしてもらい、その結果を当初の予想と比較してもらう。たとえば「思ったよりもホームページって訪問してくれないものだな」という反応が得られたならば、「サイト最適化」という手法や検索に引っ掛けて貰いやすい手法を有償で提供している世界があることを説明し、それなりの技術や特種能力が必要であることを理解してもらう。 ライバルのネットショップの存在を意識してもらうことにより、どんなサービスが必要なのか、なぜ売れていそうなのか(=脅威なのか)を経営者なりに理論付けてもらう。

こういうふうに小刻みに話を進めてゆこうというのが、スパイラル型の検証ユニットの中心テーマである。自転車を載るときにどうやってバランスを取ればよいかを長々と語るよりは、補助輪を片側にだけ付けて走らせるほうが理解は早い。

たとえば私はいつも、「画面のレイアウトは、棚割と一緒ですよ」「定期的な中身の更新は、お店の前を毎朝ほうきで掃くようなものですよ」と言っている。ネットショップのオープンをする前に、品揃えやターゲット、担当者の作業や事務能力レベル、ホームページのデザイナーの位置づけ等がはっきりと理解できれば、何が経営側のリスクかも明確に見えてくるはずだからだ。

ただ、このように説明して、それで何をすべきか気付いてくれる経営者なら良いが、気付かない経営者も多い。従って、問題はその言葉が身にしみる環境にあるかどうかである。

時折、システムベンダーやデザイナーに販売不振の責任を転嫁する人が居るが、それはリスクテイクが間違っているといえよう。店舗プロデューサーのような仕事を、数十万円の金額でWEBデザイナーに任せるのは間違っている。

いずれにせよ机上の論理が好きではない経営者は沢山居る。
失敗したときに大やけどをしない程度に、実体験してもらう環境を素早く用意できれば非常に良い。
スパイラル式の検証ユニットは、経営者が持つ興味や仮説と、ITコーディネータが持つ一般理論(あるいは経営者に悟って欲しい事)との間で、合意形成をすすめ、実証を積み重ねる為の道具である。

とはいえ、スパイラル式の検証ユニットは未だ発展途上の考え方である。

どの程度小刻みに検証ユニットをまわしてゆくのか、どんな手法や実例がありうるのか、経営者に悟って欲しい事を、どんな方法で悟ってもらったのか、いろいろ実例を集めて検討してゆかなければならない。簡単なルールと豊富な応用例を持つ方法論に育てばいいと思う。

ITコーディネータ/太田垣 博嗣

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