ITILについて思うこと

2004/09/26

 
ITILは、もともとイギリス調達庁(OGC:Office of Government Commerce)が、1980年代後半ころからまとめはじめた、企業IT部門運営のための首尾一貫したベストプラクティス集です。私は個人的(つまり自腹で)英語の関連書籍を購入して読んでいますが、なかなか良いです。

ITCプロセスガイドラインに定められているITコーディネータの活動範囲は、どちらかというと新規のシステム開発に伴うプロジェクト(つまりはじめと終わりがある期間限定物)をイメージしているようですが、ITコーディネータが実際に活動するときのネックは、各社における情報システム部門の位置づけや重要度、信頼度に関する問題です。

そもそも、IT化がうまくいかない問題のある部分は、その組織におけるIT部門の位置づけを間違っている場合があるわけで、IT化よりもむしろ、その部分を矯正するシナリオをいかに提示するか、が課題となっている場合が多いように思います。

ITコーディネートにおける成功事例では、社長以下キーパーソンが、ITの位置づけに開眼し、悟って進むようなケースを多く見かけますが、逆に言うとその裏に隠れている失敗事例として、開眼してくれなかった場合があるのではないかと思います。

ITCのプロセスガイドラインではどうもその部分は手薄になりがちです。その点、ITILでは、情報システム部門の日ごろの行動をベースにかかれているため、そこに書かれてあるベストプラクティスと顧客企業との間にあるギャップを捉えることが非常に簡単にできます。

私は、最近の業務において、CobiTとITILの二つのツールを使用したITコーディネートを行っています。すなわち、最初にCobiTに基づいて情報活用の成熟度をチェックし、強化・矯正ポイントを明確にした上で、ITILのフレームワークを部分的に導入してゆきます。

CobiTもITILも、部分的に使えるというところが気に入っています。
この1?2年で、ITILの知名度も上がって来ました。日本でもitSMF JAPANが立ち上がり、ITILの有用な情報をリアルタイムに日本に届けてくれています。

ただ、やはり設立企業の顔ぶれから見てもビッグビジネスが中心で、大企業の事例が多く取り上げられがちで、中小企業への導入の話題は、あまり多く出てこないのではないかと思います。このままでは、ITILをマスターしているコンサルタントの方も大企業向けコンサルが中心で、中小企業はITILの恩恵にあずかれない可能性があります。

ITILの書籍は、早く日本語化して欲しいものです。現在は、中核になるService SupportとService Deliveryの2冊が先行して日本語化されていますが、全冊読んで欲しいものです。理論書ではなくベストプラクティスの集大成であることが随所にうかがえ、いろんなノウハウが詰め込まれています。
もちろん、日本の企業風土に馴染みにくいものも散見されますが、それを超えて余りある内容です。

今年11月には、いよいよ情報化戦略の決定プロセスまわりについて書かれた、The Business Perspectiveの巻が発売になります。(私は既にAmazonに予約済)

ITILは、情報システム部門を管轄している中堅企業の役員さんあたりには、是非読んで欲しい本です。部門の構築や会社の中の位置づけについて、いろいろ得ることがあると思います。

太田垣博嗣/ITコーディネータ補

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