異業種交流
人材育成
資金調達
企業紹介
トップへ
コミュニティクレジット
 

★コミュニティ・クレジットとは?
コミュニティ・クレジットとは、「地域の自立的な発展」を目的に、日本政策投資銀行が開発した地域企業等のための新たな資金調達法です。「地域社会においてつながりのある企業やお互いに信頼関係にある企業が、相互協力を目的に(信託に)資金を拠出しお互いに連携することで、構成企業個々の信用よりも高い信用を得て、金融機関からの資金調達を円滑化するとともに、地域の資金を地域に環流させる金融手法」です。

 日本で旧来からある頼母子講や無尽講等の内部情報に基づいた金融手法に、プロジェクトファイナンスや証券化等で用いられている新しい金融技術や契約技術、情報開示技術を組み込んだものとも言えます。コミュニティ・クレジットでは、以下の3点が重要な要素となります。

(1)金融機関および構成企業相互の信頼関係を強める徹底した情報開示
(2)構成企業相互の審査・保証・監視等を通じて、コミュニティ内部で信頼のない企業が排除され、モラルハザードを起こさない仕組み
(3)金融ストラクチャーを活用したリスクコントロールによる信用補完

  コミュニティ・クレジットの仕組みでは、信託を使うもの、SPC(特別目的会社)を使うものなど、いくつかの種類が考えられますが、国内での第1号事例となった「神戸コミュニティ・クレジット」(後述)のベースとなった信託(銀行)を使った仕組みは下図ようになります。


(1)コミュニティ・クレジットの組成まず、相互に信頼関係を有する地域企業が、信託銀行に金銭を信託(出資)します。
 この時点で、参加企業の間で十分な情報開示が行われ信頼関係が形成されていること、つまりコミュニティが形成されていることが前提となります。また、銀行と参加企業の基本協定において、参加企業が銀行に対して開示した情報が十分であり、かつ真正であることが全参加企業により表明保証されます。
 次に、信託は銀行からコミュニティ・クレジットに必要な資金を借り入れます。(信託された金額と銀行融資の比率は取組み時にあらかじめ決められています。) この融資は、信託財産に責任財産を限定したリミテッドリコースローンとなります。(信託受益権に担保権を設定。)

(2)コミュニティ・クレジットによる貸付(転貸)
参加企業(信託の委託者)のうち、新規事業等を実施するために資金を必要とするものは信託に借入申込をします。借入申込した企業は、新規事業等の内容を他の参加企業にプレゼンテーションし、融資の同意を取り付けなければならない。また、信託からの借入について、借入をしない他のメンバーからの部分保証を受ける必要があります。
 参加企業全員が貸付に同意し、借入を行わない参加企業(複数)が貸付の保証(部分保証)をするという条件が満たされれば信託は貸付を実行します。

(3)コミュニティ・クレジットの終了
信託は借入企業から期限に貸付金を回収する。信託が貸付金をすべて回収し銀行ローンを完済、コミュニティ・クレジットの予定期間を満了し、信託財産が委託者に交付された時点でコミュニティ・クレジットは終了します。

(4)立場の入れ替わり
コミュニティ・クレジットでは、信託からの個々の貸し付けはリボルビング型の融資を想定しています。保証企業となった参加者は、保証期間中は借入企業となることはできませんが、保証終了後は借入企業となる資格があります。したがって、事業資金が必要ないときは保証企業になり、資金が必要になったときに借入企業となるといったようにその時々で立場が入れ替わることが考えられます。

★「神戸コミュニティ・クレジット」について
コミュニティ・クレジットの国内第1号案件となったのが「神戸コミュニティ・クレジット」です。「神戸コミュニティ・クレジット」は、日本トラストファンドを中心とした中小企業のコミュニティが、自分たちのプロジェクトとして新しい金融の仕組みに挑戦したいと意欲を持って取り組んだものであります。 日本政策投資銀行によると海外にも同じ仕組みはないとのことである。

 成長性・償還確実性が見込まれる事業の資金調達を、相互扶助の精神に基づき地域企業が連携して応援することが、「神戸コミュニィティ・クレジット」の目的です。参加企業は、資金を拠出するだけでなく、コミュニティ・クレジットの実施期間にわたり、互いに正確かつ十分な情報と事業の経験、経営ノウハウを持ち寄り、全ての参加企業が信頼できる企業のみを対象に、各事業をより深く審査・監督し、本プロジェクトを成功に導きます。地域企業が、当該事業に関する情報に責任を持ち、自らがまずリスクをとることによって、初めて、金融機関(市場)に対しコミュニティの信用を示すことができます。
 今回の「神戸コミュニティ・クレジット」は、あくまでも低利の資金調達を実現することであり、ビジネスプラットホームを構成する参加企業(出資企業)への直接的なリターン(配当)は結果であって目的ではありません。

神戸コミュニティ・クレジットの概要は以下の通りである。

参加企業 (出資企業) 15社
借入企業 参加企業の内6社
場  所 神戸市
事業規模 1億円
融資内容 日本政策投資銀行2500万円(期間2年)
みなと銀行2500万円(期間2年)

 神戸コミュニティ・クレジットは、コミュニティ・クレジットの仕組みをベースとしているものの期間が2年と短い点や信託ローンが期日一括返済となっている点など、参加企業が早く成功の実績を作りたいとの理由から若干特殊な部分があります。神戸コミュニティ・クレジットでは、借入企業は最後まで借入企業であり、保証企業も終始保証企業のままである。したがって、前述の立場の入れ替わりは発生しません。
 また、事業規模1億円のうち、出資部分は5000万円、銀行ローンは5000万円で、比率は50対50になりましたが、この点もコミュニティ側での決定です。50%という比率は銀行にとって安全性が高く、取り組みやすい数字でありましたが、今後コミュニティ・クレジットの実績が増えてくれば、この比率は下がっていくものと思われます。神戸コミュニティ・クレジットでは、参加企業が開示する情報に均質性を持たせるため、信用調査会社(東京商工リサーチ)のレポートを活用しています。通常、信用調査会社のレポートは銀行の依頼により信用調査会社が調査を行い作成するものですが、今回の「神戸コミュニティ・クレジット」では、参加企業側から積極的に情報開示した内容に基づいてレポートが作成されています。情報開示になれていない中小企業にとっては有効な手法と言えます。

 
☆コミュニティ・クレジット調印
中:宮下敬正(日本トラストファンド代表取締役)
左:井内勝正氏(みなと銀行常務取締役)
右:高橋洋(日本政策投資銀行プロジェクトファイナンス部長)


 
★「今後のコミュニティ・クレジットの展開
以上見てきたように、コミュニティ・クレジットのベースとなるのは、コミュニティの信頼関係であり、単に資金調達を目的として中小企業がグループを作っても、コミュニティ・クレジットは成立しません。今後、コミュニティ・クレジットで想定されるコミュニティとしては、当社のような相互発展を目的とした異業種企業の集まりや将来性のある商店街など地域全体として発展性のある集団、共同で受発注を行っている企業集団など特定の地域で業種においてもつながりのある集団等が考えられます。

 コミュニティ・クレジットではメンバー相互が企業内容の開示を行うので、情報開示という壁を越えて連携しようという強い意志と情熱・行動力を持った集団である必要があります。今回の「神戸コミュニティ・クレジット」では、第1号案件ということで、期間を2年と限定しシンプルな構造としましたが、今後のコミュニティ・クレジットを検討するについて以下の点が課題となると思われます。

(1)期間‥‥信託ローンにより設備資金を調達し事業収益により返済していく場合、10年程度の期間設定が必要である。
(2)規模‥‥契約書のドキュメンテーション、信用調査レポートの作成等、プロジェクトに要するコストを賄えるだけの規模が必要である。
(3)事務‥‥参加企業の立場の入れ替わりや、信託ローンの分割返済、リボルビングでの信託ローン実行など、期間の長期化、規模・参加企業数の拡大に伴い、かなりの事務量になることが予想される。
(4)審査‥‥信頼のない事業者が排除されるコミュニティであるかがコミュニティ・クレジットの審査のポイントであるが、参加企業、特に借入企業及び保証企業の個々の企業内容は無視できない。参加企業数が多数となった場合に、個々の企業内容をどこまで審査するかという問題がある。
(5)コミュニティの審査能力‥‥コミュニティのメンバーは情報は持っているが、事業を審査する能力があるとは限らないので、コミュニティの審査能力をサポートしていく手段が必要である。

 上記課題については、期間・規模設定上の考慮、契約書のひな型化、事務のシステム化等を行いコミュニティ・クレジットの実績を積み重ねることで克服されていくものと考えています。
 信頼のあるコミュニティはどこにでもあるわけではありません。また、コミュニティ・クレジットは汎用性があるとは言えませんが、前向きな意欲を持った中小企業の集団にとって新しい資金調達の手段となる可能性はあります。地域の中小企業が情報を発信する機会は限定されており、担保や公的保証に依存せずに資金調達することは容易ではありません。コミュニティ・クレジットは、コミュニティ内部での信用を銀行に対して開示することで、担保や公的保証に依存せずに資金調達をする新たな手法となり、地域に根ざした地域密着企業間で、事業展開・投融資・情報提供など相互サポートが活発に行われると思います。日本トラストファンド鰍ヘ、その中核機関となって、低迷する神戸の地域経済活性化のためにも、意欲的な地元中小企業のメンバーと共に「神戸駅前大学」を通して知り合い・学びあう中で、地域に根づいた中小企業の連携組織を築き、積極的に支援活動を行っていきます。また、異業種の仲間との新たなビジネスの融合、業態変革の支援や新しい地場産業の創出にも関わり、広く地域発展のために積極的に取り組んで行く所存です。